刺繍の下書きのやり方
刺繍のテクニック以外に作品作りに必要な技術、それは「下書き」です。良いやり方がわからなくて、オリジナルの作品作りやキットの作品ができないと感じている方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。書籍やキットに下書きの説明があっても、簡潔すぎて細かい点がわからないこともしばしばです。今日はその下書き方法を掘り下げてご紹介いたします。
下書き用の道具について知っておきたいこと
手芸屋さんに行くと、下書きするための道具が様々並んでいます。何を選べばいいか、まずはそこから悩みどころです。鉛筆やシャーペンタイプのもの、日光や水で落とせるマーカータイプ、転写シートのチャコピーなど、たくさんの種類があります。
オートクチュール刺繍におすすめなのはシート状の「チャコピー」です。オートクチュール刺繍でもっぱら使われるオーガンジーと印字の相性が良く、細かい図案でも描くことができ、下書きの完成度が高いです。このチャコピーを使う場合は、生地を刺繍枠に張る前に図案を写して刺繍をします。
刺繍枠にオーガンジーを張ってから図案を写すこともありますが、そうすると刺繍枠に張った分だけ生地が伸びていることになるので、図案通りに写せても完成した時には若干小さく出来上がってしまいます。正確に仕立てたい場合は、生地を枠に張る前に下書きをした方が無難です。
そして透ける生地の時は、下書きが生地の裏面側になるように写せば、完成したときに目立たなくなります。
図案転写シートの種類
下書き用の転写シートにはチャコピーのほか、いくつか種類があります。元祖転写シートの「チャコペーパー」、水で落ちる高級タイプ、アイロンで図案が定着するタイプなどがあります。色も様々で白・グレー・黄色・ピンク・水色などがあります。また、「片面」と「両面」タイプがありますが、オートクチュール刺繍には「片面」、そして一番目立たない「白」が適しています。
「チャコピー」と「チャコペーパー」は、製造しているメーカーが違います。チャコピーの方がしっかりとした線で写せることが多いので、生徒さんにはチャコピーを使うことをお勧めしています。
チャコピー以外のお勧めは文具の「カーボン紙」です。厚みがあって毛羽立ちのあるような生地にはカーボン紙の方がしっかりと図案を写せます。ただ、線がくっきりと残ってしまったり、カーボンが擦れて汚れてしまったりというデメリットもあるので、写すときの筆圧や刺繍の仕方を工夫することが必要です。
図案の写し方 実践してみよう
チャコピーを使った刺繍の下書き方法です。準備するものは、図案、生地、チャコピー、トレーサー(インクの出なくなったボールペン等も可)、ペーパーウェイト(重し)、カッターボードです。必ず広くて水平な場所で作業してください。
1、まずはカッターボードの上に、チャコピーのインク面を上にして置きます。カッターボードの端とチャコピーの端が水平になるようにしてください。
2、その上に生地と図案を置いて、四隅はしっかりと重しで固定します。(書道用の大きな文鎮も重宝します)
生地を無理やり引っ張って固定してしまうと図案がゆがんで出来上がるので、優しく平らに据えてあげましょう。
ポイント! 生地は先に地の目を通しておきます。カッターボードの端を目安に、生地と図案の縦横を揃えると下絵が斜めになったりしません。
*「地の目」を通すとは、、、生地の端の繊維をほぐしとって、生地の端から端まで繊維が一本ずつまっすぐに通るようにすることです。
3、図案の線の上を、トレーサーを使って強めの筆圧でなぞります。長い直線は定規を使えば真っ直ぐに描けます。
この方法の一番の利点は定規を使って直線を引ける事。織り目で線がよれたりしないので、直線を多用するデザインに便利です。チャコペーパーの説明書では、薄地の時は生地の上に重ねてなぞる、、、とありますが、生地の下に置いた方が濃く写し取れます。それに図案を反転させる必要なく、生地の裏に下絵がのるので一手間削れます。
下書きの方法は生地の相性に合わせて変えるのが鉄則です。いきなり下書きを始めてしまわず、端の方で試して見てから一番良い方法を取り入れましょう。様々な下書き方法を実践して経験を積むのも、刺繍を上手にする道の1つです。
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